日本の家畜の飼育環境に問題があるとして、海外のメダリストたちが改善要求を発表しました。改善要求の中でメダリストたちは「東京大会では、世界中が廃止していっているバタリーケージ飼育の卵や、豚を拘束する妊娠ストール飼育の農場の豚肉でもよいとしている」と指摘し、日本の家畜の飼育環境に問題があると言及。
その上で、これまでの大会では動物福祉が強く意識され、ロンドン大会ではケージフリー(平飼いか放牧の卵)が使われていたことも紹介。
他の国々と比較しても日本の畜産物の飼育環境は劣っているとして、「畜産物の調達基準には動物福祉が含まれるが、そのレベルは世界水準に到底達しない」などと厳しく批判していました。
豚や鳥などの家畜は狭い場所に押し込んで育てるよりも、広い場所で放し飼いにした方がストレスが少なく、栄養価も高い肉になります。「ビタミンEやβカロテン、オメガ3が増加した」というような研究調査もあるほどで、日本と海外の意識の差を改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。
東京オリンピックの使用食材は「低水準」 海外メダリストらが改善要求(岡田千尋)
http://blogos.com/article/321524/
東京五輪で使用される畜産物のアニマルウェルフェア(動物福祉)のレベルが低すぎるとして、ロンドンオリンピック銀メダリストのドッチィ・バウシュ選手ら9名のオリンピックアスリートが改善を求める声明を発表した。
私たちが求めていること
http://legacyforanimals.com/letter-jp/
POSTED BY LEGACY FOR ANIMALS ON 8月 1,2018
東京都知事 小池 百合子 様
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会御中オリンピックメダリスト(2012年シルバーメダリスト、米国サイクリングチーム)から食品の生産のために狭い場所に閉じ込められ、残酷な扱いを受けている畜産動物についてと、残酷な扱いが食品に与える影響についてご説明するお手紙が届き、驚かれていることでしょう。
私がなぜこの手紙を書くに至ったかと申しますと、2020年夏の東京オリンピック・パラリンピックでの食事メニューについて懸念があるためです。以下、ご説明いたします。
動物の扱いを懸念すると同時に、私は、人間のこと、人間の健康、栄養のことも懸念しています。アスリート人生の最高の舞台であるオリンピックには、世界からトップクラスの選手が集まるので、高品質の栄養素が求めれるのは当然です。
選手の食べるものが、競技の結果に直結します。最高品質の栄養が、最高の結果をもたらします。飼育過程にストレスが含まれたグレードの低い栄養では、それなりの結果しか出せません。非常に明確です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、選手村で、最高品質の食材を提供することが重要となります。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに来日する10,500人の選手の食事の材料を決定するために重要な鍵となる科学的根拠、事実、事例を元に説明をいたします。選手村ではケージフリー卵(平飼い卵、放飼い卵)100%、妊娠ストール(妊娠母豚の拘束檻)を使わない豚肉100%を提供することをお願いいたします。この目標値に向かって最大の努力をいただきたくこと、併せて目標の達成の進捗について一般に対し明確に公表いただくことをお願いいたします。このお願いは、過去に行われたオリンピックのスタンダートに近づくレベルです。例えば2012年のロンドンオリンピックでは放し飼い卵、または有機卵が、また豚肉は妊娠ストールなど残酷な飼育を経ていない豚肉が使われました。2016年のリオオリンピックでは、ケージフリー卵と、大手企業は自主的に妊娠ストールを用いて生産した豚肉は使用しませんでした。
また、世界中の国でケージフリー卵に移行する動きが勢いを増していることは注目すべき重要な点です。グローバル展開している大手の小売業、レストラン、食品加工会社が、次々に2020年または2025年を期限に、ケージフリー卵の調達に移行すると宣言をしています。消費者がインターネット、ソーシャルメディア、映画などで畜産動物に対する残酷な扱いを知る機会が増え、ケージフリー宣言の勢いは高まるばかりです。
東京には、世界中から最高の体験を求めて、たくさんの人がやってきます。東京オリンピック・パラリンピックが食材の方針を改めず、世界が受け入れるクオリティに達することができないなら、畜産動物の福祉の向上を目指している世界から東京が遅れをとっていると見られるでしょう。これは深刻な問題です。
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