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農業分野だけではない!日米貿易協定で個人情報やデジタル市場もアメリカに!唯一の成果「自動車関税」も明記無し


11月19日に衆議院本会議で日米貿易協定(日米FTA)が与党の賛成多数で可決されました。

この日米貿易協定は公開されている情報を見るだけでも、日本にとっては不平等条約であることが分かります。まず第一に農業分野はアメリカ有利な内容となっており、牛肉などを中心にTPP(環太平洋連携協定)と同レベルまで関税撤廃する方向で合意。
小麦などの食品は既存のWTO枠(574 万トン)に加え、新たに米国枠を新設することも明記され、日本の輸入量が半強制的に増える形となっています。

食品別だと、たまねぎは現在の8.5%となっている関税を5年目に完全撤廃する予定で、特にアメリカの生産量が多いスイートコーンは3年後に関税撤廃(現行6%)と非常に期間が短いです。
関税は日本の農家を守るための貿易障壁であり、これを完全撤廃するというのは日本の農業切り捨てと同じ意味があります。

そして、深刻なのは日米貿易協定に含まれている「日米デジタル貿易協定」の内容です。日米貿易協定にはアメリカの大手IT企業を優遇するような内容が数多く見られ、個人情報の保護よりも大企業が自由に国境を超えて、個人情報を自由に扱えるように定めています。
ビッグデータを制約なくビジネスに活用させる内容だと言え、国としての個人情報保護を根本から揺るがすリスクがあるのです。

共産党の笠井亮議員は国会質疑で、「本協定のどこが物品協定(TAG)ですか。まさにFTA(自由貿易協定)交渉そのものです。独占的利益を得ようとする米国の多国籍IT企業を背景にした、トランプ大統領の要求を丸のみしたものではありませんか」などと政府を追求していましたが、まさにその通りの内容となっています。

さらには日本側が日米貿易協定の成果として強調していた自動車産業の関税撤廃についても、合意文書には確定事項として明記されていませんでした。アメリカ側はあくまでも検討事項の一つとしているだけで、日本の自動車産業への関税を具体的にどうするかは書かれていないのです。

これから参議院で日米貿易協定の審議が始まりますが、衆議院本会議を通過してしまった以上は時間の問題で日米貿易協定は成立となってしまうでしょう。

 

日米貿易協定の合意に伴う北海道における影響
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/ssk/tpp/011023nitibeieikyouhaaku.pdf

日米貿易協定の概要
Ⅰ 経過
平成 30 年9月 26 日 日米首脳会談(米国・ニューヨーク)
・「日米物品貿易協定」について交渉を開始することで合意
平成 31 年4月 15~16 日
第1回日米物品貿易協定交渉(米国・ワシントンDC)
・交渉開始
令和元年9月 25 日 日米首脳会談(米国・ニューヨーク)
・日米貿易協定に係る最終合意を確認
令和元年 10 月7日 日米貿易協定署名(米国・ワシントンDC)
Ⅱ 協定の概要
〇 世界のGDPの約3割(25.5 兆ドル)を占める日米両国(人口約 4.5 億人)間の貿易協定
※TPP11+日EU・EPA+日米
世界のGDPの約 59%(50.3 兆ドル)、人口 13.4 億人
〇 両国の国内手続完了通知後、30 日(または別途合意する日)で発効。終了は通告後4か月

日米貿易協定・デジタル貿易協定承認案に対する笠井議員の質問(要旨)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-10-26/2019102604_03_1.html

日本共産党の笠井亮議員が24日の衆院本会議で行った日米貿易協定・デジタル貿易協定に対する質問(要旨)は次の通りです。
日米貿易協定は、交渉開始からわずか5カ月、交渉内容も経過も、国会や国民にも一切知らせず、前代未聞のスピードで合意、署名したものです。
安倍総理はこの協定を、日米双方にとって「ウィンウィン」の中身になったと誇っています。しかしその内容は、秘密交渉によって、日本側が一方的に譲歩したものではありませんか。

政府が、日本への影響について試算もなく協定を締結したことは重大です。これまでの自由化協定とあいまって、どれだけ農林水産物の生産減少をもたらすことになるか。農林水産業や地域経済への深刻な打撃を何ら考慮しなかったのですか。

米国側は、日本は米国産農産物の輸入で、72億ドル(7800億円)もの市場を開放したとしています。これは事実ですか。この額は、現行の輸入額の6割にも相当します。国会に詳細を報告すべきです。

 

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