大地震の発生直前に震源上空の電離層で電子数の変化が発生する現象について、京都大学の研究グループがメカニズムを解明したと発表しました。
今回の調査を担当した梅野健教授(数理工学)は調査報告書で、プレートや断層の粘土に含まれる水分が地震前の微小な震動で帯電し、電気が上空に伝わることで電離圏の電子の数を変化させていると報告。
東日本大震災や熊本地震、能登半島地震でも本震発生の1時間ほど前に地表から約300キロほど上空の電離層にて変化があったとして、粘土に含まれる水分が地震直前の微小な振動で高温となって帯電することが大きな要因になっているとまとめていました。
「地殻の破壊は、極めて高い圧力の下で発生します。このため、破壊時の運動エネルギーが熱となり、極めて高い温度になると考えられます。このため、破砕層内部に水分が含まれていると、水は超臨界状態となり、絶縁性となります」
また比誘電率が大きく低下するので、破砕層内で摩擦などにより発生する電荷により、破砕層間の電圧上昇が起こります。この電圧上昇分は、大気の静電容量を介して電離層に伝わります。この時、破壊層に蓄えられる電荷とエネルギーは、電離層の擾乱を引き起こすに足りる値であることが、破壊層の最大電圧の見積もりから推測できました」
今回の論は超臨界条件付近で水・粘土混合物が帯電する可能性を予備的な実験で示したもので、今後はさらに精密な実験検証を行って電離層の異常と大地震の関係を調査するとしています。
この電離層の変化や異常を誘発している自然現象には太陽フレアに伴う太陽風の存在もあることから、逆説的に太陽風や宇宙線が電離層を刺激することで、反対の変化を引き起こしている可能性もありそうです。
特に宇宙線は地中の奥深くまで貫通して届くため、いずれは電離層の変化に合わせて、宇宙線と大地震の関係も明確化されることになるかもしれません。
大地震発生直前に観察される電離層異常発生の物理メカニズムを発見―地殻破壊時に粘土質内の水が超臨界状態となることが鍵―
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-04-18-0
大地震前兆現象の仕組み解明 上空の電子変化、予知に期待―京都大
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041900707&g=soc#goog_rewarded
地震の規模(マグニチュード)が6.0以上の大地震発生前に上空で電子の数が変化する現象について、京都大の研究グループは19日までに、プレートや断層の粘土に含まれる水分が地震前の微小な震動で帯電し、上空に電気が伝わることで生じると発表した。
京都大大学院の梅野健教授(数理工学)は「前兆現象の仕組みを科学的に示すことができた。大地震を予知して警戒を促すシステムの実現が期待できる」と話している。研究成果は3月、国際学術誌の電子版に掲載された。
アメリカ地磁気観測所
https://www2.irf.se/Observatory/?link=Magnetometers
2024/ 4/22 14:15 更新
磁気圏は穏やかになっています。Mフレアが3回発生しました。担当 篠原
太陽風は、速度は450km/秒、磁場強度は7nTと、
概ね平均的な状態で推移しています。磁場の南北成分は、グラフの中頃まで南寄りが続き、
AE指数は、500〜1000nTと
中規模の変化が続いていました。今朝くらいから、南北成分は0nT付近で推移する様になり、
磁気圏は穏やかになっています。
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