30年余りにわたりアメリカとロシアの核戦力増強の歯止めとなってきた歴史的な核軍縮条約である「INF(中距離核ミサイルの全廃条約)」が8月2日午後に完全失効となりました。
この条約は1987年にアメリカとロシアが締結し、射程が500キロから5500キロの地上発射型の弾道ミサイルと巡航ミサイルの保有や製造、発射実験を禁止。
条約の締結を受けて2600基以上の核ミサイルが廃棄され、アメリカとロシアを超えて世界中の核軍縮を促しました。
アメリカのトランプ大統領は今年2月にロシア側の違反を理由に条約の破棄を表明、プーチン政権も義務の履行を停止するとしたことから、条約の規定で8月2日付で停止した形です。ロシアとアメリカはお互いに批判声明を出しており、今後は中距離核ミサイルの強化を行うとしています。
一方で、ロシア外務省は「既存の軍備管理システムは事実上、解体へと向かっている」とのコメントを出して、再来年に期限を迎える核軍縮条約の「新START(新戦略兵器削減条約)」も撤廃となる恐れがあると懸念を示していました。
「新START」は戦略核弾頭の保有数を厳しく制限している条約で、INFと合わせて核軍縮条約の柱となっています。
条約の期限が2021年となっていることから、このままだと合わせて廃止に向かう可能性が高いです。アメリカとロシアの関係がかつての米ソ冷戦時代に逆戻りしていると言え、世界は再び軍拡の時代を迎えようとしています。
アメリカとロシアの核軍縮の柱の1つとなってきたINF=中距離核ミサイルの全廃条約が失効したことを受けてロシア外務省は声明を発表し、再来年に期限を迎える米ロ間のもう1つの核軍縮条約、「新START」の存続が危ぶまれていることに強い危機感を示しました。
8月2日、INF条約がお亡くなりに。
8月中にアメリカ軍が新開発の地上発射型巡航ミサイルを試射予定。(射程1000kmという情報とトマホーク改造型という2種類の説が報道)
11月中にアメリカ軍が新開発の地上発射型弾道ミサイルを試射予定。(射程3000~4000km、形状はパーシング2に近いという情報も)— JSF (@rockfish31) 2019年8月1日
「北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射……」
「中国は台湾への個人旅行を一時停止……」
「香港ではデモ隊と警察の衝突……」
「日韓の関係はますます悪化しており……」
「INF条約の失効を受けて、米ロは中距離ミサイルの開発を……」おお、教室の片隅で妄想していたような世界観になってきた。
— ユキカゼ (@NAVY_ICHIHO) 2019年8月1日
米露双方がINF条約が二国間条約であることに不満を抱いていたところまでは事実。しかし、不満があるからといって、条約に違反していいわけではない。先に条約違反のミサイルを配備し始め、再三条約を遵守するよう、情報を突きつけても突っぱね続けたのはロシア側であり、米側の脱退と同列には語れない
— Masashi MURANO (@show_murano) 2019年8月1日
INF(中距離核戦力)廃棄条約が失効。アメリカとロシアの核軍縮の枠組みが無くなってしまった。アメリカは、北朝鮮に核の放棄を迫る説得力をますます失うってこと。
世界唯一の被爆国日本は、核保有国と非保有国の橋渡しができるはず。「核廃絶」の理想を訴えていいはず。理想を言えなくなるのは怖い。— 東ちづる Chizuru.Azuma (@ChizuruA1) 2019年8月2日
本日、米露の核の搭載に関わらず射程500~5500kmの地上配備型ミサイルの廃棄と開発禁止を定めていたINF(中距離核戦力廃棄)条約が失効し、自由な開発配備が可能になった。ただ中国は既に活発に開発配備を行なっており、世界は不安定に向かっている。米露中を含む新たな枠組みが必要だ。軍拡は無益だ。 pic.twitter.com/Egb7AzamvY
— 山本ともひろ (@ty_polepole) 2019年8月2日
いいね!しよう