*日本学術会議
菅義偉首相が日本学術会議の推薦人を拒否した問題で、2018年から内閣府が「日本学術会議の推薦通りに会員を任命する義務はない」との見解をまとめていたことが分かりました。
これは時事通信社が報道した情報で、安倍政権時代に発表された政府見解となっています。
内閣府の独自見解として、「首相は任命権者として学術会議に人事を通じて一定の監督権を行使できる」とも書いてあり、この政府見解が任命拒否の根拠として活用された形です。
日本学術会議の任命拒否を巡っては与党内部からも「やりすぎだ」「どうして菅首相はいきなりやったのか」などと否定的な意見が噴出している状態で、与党においても荒れている状態が続いています。
問題は菅首相が突然にこのような重大な決定をした点で、過去の内閣府の決定を調べてみると、どうにも軍事研究と密接な関係がありそうなのです。
内閣府が任命拒否の見解を発表した2018年前後は大学機関に軍事研究をさせるかどうかで揉めていた時期で、2017年3月に日本学術会議が「軍事研究は出来ない」とする声明を出しています。
日本学術会議は前々から強く軍事研究に反対していましたが、当時の安倍政権から軍事研究を行うように圧力を掛けられても、その方針は全く変えませんでした。
その翌年に内閣府が「日本学術会議の推薦通りに会員を任命する義務はない」とする見解を発表しているわけで、時系列的にも「軍事研究」が重要な鍵になっているのは間違いないと思われます。
日本学術会議の任命を拒否することで学会や大学への圧力にもなり、軍事研究容認の方向へコントロールしやすくなるはずです。軍事研究には膨大な時間と予算が必要になることから、菅首相は就任の早い段階で高い支持率を背景に、そのまま押し切ろうとして任命拒否をしたのかもしれません。
実際にある程度は成功しているわけで、日本学術会議の任命拒否問題が収まったら、時間の問題で軍事研究の話が再浮上することになりそうです。
軍事的安全保障研究に関する声明
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-s243.pdf
学術会議推薦に従う義務なし 内閣府、18年に見解
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020100600477&g=pol
菅義偉首相が日本学術会議の推薦した会員候補6人の任命を拒否した問題で、内閣府が2018年に時の首相は学術会議の推薦通りに会員を任命する義務はないとの見解をまとめていたことが6日、分かった。見解には、首相は任命権者として学術会議に人事を通じて一定の監督権を行使できるとも明記していた。
「日本学術会議」の会員の任命をめぐって、政府は野党の会合で、おととし、政府内でまとめていた文書を明らかにしました。それによりますと、会員の任命について、憲法で定められた国民主権の原理からすれば、総理大臣に、会議の推薦通りに任命すべき義務があるとまでは言えないなどとしています。
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