今年9月20日に首相官邸で行われた第一回全世代型社会保障検討会議の議事録から、経団連の中西宏明経団連会長の発言が削除されていることが発覚しました。
削除されたのは政府の年金政策に中西会長が否定的な見解を述べた場面です。
政府は働いている高齢者にも厚生年金を支給する在職老齢年金制度は労働意欲を阻害しているとしていましたが、これに中西会長が「経営者から見ると、勤労意欲を減退させることはないのではないか」と反論。
厚生年金の支給が労働意欲を下げているとは思えないとして、在職老齢年金制度の縮小を検討している政府に反対しました。
しかしながら、その後に公開された議事録には「財源の問題もあるので、慎重に検討した方がいいのではないか」との発言だけが記載され、中西会長が否定した部分は無くなっていたと報じられています。
この問題は国会でも野党から追求を受けましたが、安倍首相や菅官房長官は「民間議員に確認を頂いてから公開している」と述べ、議事録を削除した理由については回答を避けていました。
また、経団連から政府側に発言掲載を求める要望があったとの情報も見られ、それを無視して安倍政権が発言を削除したのは意図的な誘導を感じると言えるでしょう。
第一回全世代型社会保障検討会議
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201909/20zensedai.html
令和元年9月20日、安倍総理は、総理大臣官邸で第1回全世代型社会保障検討会議を開催しました。
会議では、社会保障の現状と今後の進め方について議論が行われました。
本日の議論を踏まえ、総理は次のように述べました。
「一億総活躍を掲げる安倍内閣にとって、全世代型社会保障への改革は、最大のチャレンジであります。少子高齢化が急速に進む中で、これまでの社会保障システムの改善にとどまることなく、システム自体の改革を進めていくことが不可欠です。
このため、まず消費税の使い道を見直し、子供たち、子育て世代に投資することを決定しました。来月から3歳から5歳まで、全ての子供たちの幼児教育・保育の無償化を行います。そして来年の4月から、真に必要な子供たちの高等教育を無償化します。同時に、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんが、年齢にかかわらず働くことができる環境を整えることが必要です。70歳までの就業機会の確保の法制化や、意欲ある方が兼業・副業できる環境整備、年金の受給開始年齢を自分で選択できる範囲の拡大、また疾病介護予防へのインセンティブ措置の強化などの方針を打ち出しています。
本日新たに審議を開始する、この全世代型社会保障検討会議においては、少子高齢化と同時にライフスタイルが多様となる中で、人生100年時代の到来を見据えながら、お年寄りだけでなく、子供たち、子育て世代、更には現役世代まで広く安心を支えていくため、年金、医療、介護、労働など、社会保障全般に渡る持続可能な改革を更に検討していきます。西村全世代型社会保障改革担当大臣を始め、加藤厚生労働大臣など、関係大臣の総力を挙げて早速具体的な検討を開始していただきたいと思います。
本日、民間議員の皆様方から御意見を頂きました。その御意見も踏まえ、そして与党の意見も充分に聞きつつ、議論を進めていただきたいと思います。」
社保会議での経団連会長発言、議事録から一部削除 野党が追及姿勢
https://mainichi.jp/articles/20191108/k00/00m/020/314000c
政府が9月20日に開いた全世代型社会保障検討会議(議長・安倍晋三首相)で、政府方針と異なる意見を述べた中西宏明経団連会長(日立製作所会長)の発言が、議事録から削除されていたことが明らかになった。政府に都合の悪い意見を記録に残さなかった可能性があるとして、野党が追及する姿勢を示している。
この国は底が抜けてしまっています。
政府への異論、議事録から削除 https://t.co/xxiTlCb1da 「有識者メンバーとして政府方針と異なる意見を述べた中西宏明経団連会長の発言の一部が、公表された議事録に記載されていない」
「異論を表面化させない意図が働いた可能性がある」— 田崎 基(神奈川新聞 記者) (@tasaki_kanagawa) 2019年11月7日
つまり、政府側が中西発言を勝手に議事録から発言を削除→経団連が議事録記載を要望→政府側が改めて掲載の要望の意図を尋ねる→経団連側が発言削除の議事録で了承、という流れらしい。
「まさかまた、官邸の圧力?」(映画「新聞記者」)案件でしょう。不都合な発言なら経団連にも圧力。
— 上西充子 (@mu0283) 2019年11月9日
もう無茶苦茶。
経団連の会長だったからニュースにもなるが…
経団連からの異論でさえ議事録から削除するようじゃ、都合の悪い意見は勝手に削除している可能性が高い。
政府の「議事録」が全く信用できない代物となってしまった。審議会の意味なし。
どうするの、これ?https://t.co/zKbi0mMT5P— 星のしずく (@DSTpnWVytBDmK1a) 2019年11月7日
政府への異論を述べた中西経団連会長の発言が議事録から一部削除されていた問題で、内閣官房にきくと、会議の録音はない、さらに経団連の事務局から、のせてほしいと連絡がきたが、なぜ必要なのか聞く中で、最終的にのせなくてよいとなったとのこと。不透明、不可解です。 https://t.co/eLLz8GnfQ7
— 宮本徹 (@miyamototooru) 2019年11月8日
11/8予算委員会 徳永エリさん
これもあまり話題になってないが、非常に重大かつ深刻な問題だとおもいますのでピックアップします。要は安倍首相主催の会議議事録で、政府方針に沿わない発言者(経団連中西氏)の発言そのものが削除されて公表、それがばれてしまい、スガアベ必死で隠蔽の図です pic.twitter.com/Uq9E9mcG8i
— 山羽明人 (@cIHtcCLzQtI7ZPX) 2019年11月9日
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