*イギリス資料
イギリスで専門機関が行った大規模なオミクロン株の調査データが発表されました。
この調査データによると、オミクロン株の感染力は通常の新型コロナウイルスと比べて遥かに高く、同時にワクチンの予防効果も限定的で、2回目のワクチン接種から5ヶ月以上が経過すると効果は10%程度まで減少。
2回目のワクチン接種を行った直後は一定の発症予防効果があるとしていますが、基本的に2回のワクチン接種だけでは長期的な効果は期待できないとしていました。
また、3回目のワクチン接種でも時間経過で効果の低下が見られ、ワクチン接種をしてもオミクロン株の感染そのものは防げないことが示されています。
一方で、入院率は従来の新型コロナウイルスと比べて3分の1程度まで下がり、子供の感染者でもデルタ株の半分程度でした。ワクチン接種をしたほうが入院率は低い傾向が見られ、発症予防と違って、入院予防には一定の効果があるのではないかと報告書ではまとめています。
数十万人規模の大規模な調査データだけに、かなり信頼性の高い内容だと言え、オミクロン株の特性は強い感染力とデルタ株よりは低い入院率の2つで結論づけることが出来そうです。
入院率が低いからと言ってオミクロン株を油断してよいわけではなく、感染力が従来のコロナウイルスと比べて数倍ならば、入院患者数は同じかそれ以上になります。
感染者数の増大によってさらなる変異株が誕生する恐れもあり、引き続きウイルス対策を世界規模で行う必要性があるのは変わらないです。
イギリスのオミクロン株の大規模のデータがいよいよ発表されました。これでやっとオミクロン株の脅威をきちんと評価できるようになりました。
非常に重要なデータなので、連続ツイートで細かく紹介します。
引用:https://t.co/Zp8x9SwM6k pic.twitter.com/8jphy2Dqvl
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
【ワクチンの発症予防効果】
この3つに分かれている表の左の部分が、ファイザー2回接種の発症予防効果を示しています。横軸が接種からの週目、縦軸が発症予防効果です。丸がオミクロン株、四角がデルタ株です。
2回目接種から5ヶ月以上が経つと効果は10%程度まで下がり、ほぼなくなる様子です。 pic.twitter.com/VlcE43lb0B
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
モデルナも、ファイザーと同じく、2回目接種直後は発症予防効果が高いですが、5ヶ月以上が経つとその効果がほぼなくなるように見えます。 pic.twitter.com/7BaJ1Uiq5g
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
【3回目接種の発症予防効果】
表の中央の部分は3回接種後の発症予防効果を示す。ファイザー2回接種後に、ファイザー3回目を接種した場合、発症予防効果が70%程度に上がりました。
その後、接種から10週間後では50%程度に低下しました。 pic.twitter.com/9Cr5xW75kV
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
そして、表の右側では、いわゆる交互接種の効果を示しています。
ファイザー3回接種と比べて、ファイザー2回接種後にモデルナの3回目接種をした方が、少し効果が高く、効果の低下が緩やかな様子です。 pic.twitter.com/7dK0bdtlgu
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
つまり、5-6ヶ月前の2回接種ではオミクロン株の感染自体をほとんど防げていないと考えて良いと思います。
3回目接種後でも効果の低下が見られているので、現在のワクチンでオミクロン株の感染拡大を長期的に抑えることが極めて難しそうです。
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
【入院率】
ここからが嬉しいデータです。オミクロン株の50万人以上の感染者のデータを分析したところ、入院率が約3分の1でした。
懸念されていた小児患者でも、オミクロン株による入院率はデルタ株と比べて約半分でした。
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
【ワクチンの入院予防効果】
これが更に嬉しいデータです。発症予防効果と違って、ワクチン2回接種でもかなり効果が長く持続する様子です。2回目接種から6ヶ月以上が経っても、入院予防効果が52%でした。
そして、3回目接種の場合は88%にも上がりました。この効果も長く持続する可能性が高いです。 pic.twitter.com/SiUQWAXRRB
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
オミクロン株の病毒性の低下と、2回目ワクチン接種後の長期的な入院予防効果を合わせると、今の日本で感染が本格的に拡大した場合でも、入院率はある程度抑えられるはずです。
ですが、「入院率」がある程度抑えられても、感染者数が急増すれば入院患者の絶対数がそれでも多くなる恐れがあります。
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
そのなか、3回目接種の強い入院予防効果が希望の光に見えます。3回目接種が進めば、入院率の更なる低下が見られて、発症予防との相乗効果で入院患者数をかなり抑制できるはずです。
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
【個人的な感想】
このデータを見ると、日本ではこれからの数ヶ月が大変な時期だと思います。2回接種の発症予防効果が丁度低下していて、まだ3回目の接種率が低いうちが最も感染拡大しやすい。
感染者数がデルタ株のピークを超える可能性は高いと思います。この時期の医療逼迫は何よりも心配。
— Dr Rennick 🇯🇵在住🇦🇺人医師 (@NicholasRennick) January 1, 2022
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